小児矯正
歯並びが気になりだすのはだいだい小学生の頃だと思います。
 
この頃はまだ乳歯も残っていて、歯科検診では「全部永久歯に生え変わる
 
まで様子を見ましょう」と言われることもあります。
 
しかし永久歯になってからでは、「歯が並ぶ隙間がないので永久歯を抜きましょう」
 
とうこともあるのです。
 
せっかく虫歯にならないように頑張ってきたのに、その歯を抜いてしまうのは
 
歯科医としても忍びないのです。
 
小学生の頃はまだ顎の成長もしている時で、この時期に治療を始めれば将来
 
歯を抜く可能性が低くなります(*場合によっては抜歯もあります
 
だからお母さんが変だなと思った時が、治療の始める時期と考えて良いと思います。
 
 
 治療装置
 
  
 
 装置は上の写真にあるもので、狭くなった顎を広げる装置です。これによって歯が並ぶ
 
隙間を作ります。取り外しの器具なので虫歯になりづらいメリットがあります。
 
しかし、入れていないと治療が進みません。一日14時間以上の装着が必要です。
 


取り外しの装置によって隙間ができたら、そこに歯を移動するために今度は固定式の
 
装置を使います。これは自分では取り外せないため汚れがつきやすく、きちんと歯磨き
 
をしないと虫歯になる可能性もありますので、ブラッシングの指導もしっかり行っていき
 
ます。
 
 治療費用、期間
 
矯正治療は保険が効きませんので全額自費の治療になります。
 
その子の歯並びの具合や始める時期によって料金はさまざまなので一概にはいくら
 
とは言えませんが、通常の矯正治療費は安く済む場合が多いです。
 
期間は全部の永久歯が生え揃う中学生くらいまで経過を診ることが大切です。
 
実際装置をつけている期間はもっと短い場合が多いですが、きちんとかみ合わせが
 
安定するまでの経過観察を含めてということです。
 
歯並びがおかしいと気づいた時が開始時期だと書きましたが、できれば永久犬歯(糸切り歯)
 
が生える前に始めたほうが治療が易しくなります。
 
 
 反対咬合(受け口)
 
かみ合わせが上と下が反対になっている場合は、乳歯しか生えていない時でも確認
 
できます。この時期でも使える装置があり、就寝時のみに口に中に入れてもらいます。
 
         
        治療前                       治療後
 
 
反対咬合は遺伝的な要因も関係している場合があり、親族に反対咬合の方がいる場合
 
は要注意です。いったんかみ合わせが治っても思春期になると下あごが前に出てきて
 
また反対咬合になる場合がありますので、治った後の経過観察も必要です。
 
思春期以降、骨の成長が止まった後の受け口の治療はほぼ外科治療になります。
 
あごの骨を切って後ろに下げるという方法で、もちろん入院になりますし大掛かり
 
になってしまいます。実際そこまでやる方はそう多くない気がします。
 
歯並びは大人になっても治せますが、あごのコントロールは成長期にしかできません。
 
乳歯の時の反対咬合は自然に治る場合もあるのですが、顔貌にかかわってくる一生の
 
問題でもあるのでやはり早期の治療が望ましいと思います。